ネットを見ていると「お前のためを思って言っているんだぞ。」に対して、否定的な意見が多く悲しくなってきちゃいました。
確かに言っている本人のエゴだとか、自己満足だとか、怒っている感情を吐き出しているだけ、などが散見されます。
それらの意見も踏まえて、本当のことを書こうと思います。
齟齬が生まれる
わしも「お前」とは使わなかったですが、「あなたのためを思って言わせてもらいます。」といった言葉で、記憶しているだけで過去に二度ほど言ったことがあります。
今から思えば、「あ~クソジジイが押し付けてきたよ。」って感じだったのかな~って、言わなきゃ良かったと後悔すらしています。今後二度と言わないでしょうね。小心者なんで・・・。はっはっはっ。
そりゃそうですよね。こっちは良かれと思って言っているけど、相手からしたら良いかどうかなんて分かんないじゃないですか。言わない方が「あなたのため」かもしれないし、言ったことで逆効果になるんだったら、無意味どころか最悪の選択をしているわけですからね。
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最近よく辻村深月さんの本を読んでいます。『傲慢と善良』『朝が来る』『盲目的な恋と友情』『オーダーメイド殺人クラブ』などです。
辻村さんの作品で一貫しているのは、登場人物一人一人の思ったこと、感じたこと、考えていることが全く違うというところです。同じ出来事が起こったとして、Aさんは自分と似通った感情なのに、Bさんは想像もしなかった感情で受け止めていたりします。最初の頃は、「うわ~そんな捉え方する人がいるんだ。」と思っていましたが、だって別の人なんですもの、当たり前ですよね。
この『人』の描き方が絶品です。だからドラマが生まれるんだと思います。『傲慢と善良』では選択するとは、どういうことかを学びました。本の帯に書かれているように「人生で一番刺さった小説」というのにも納得です。どれもこれもオススメなんですが、これは絶対に読むべき本だと思います。
そして『盲目的な恋と友情』で、蘭花の視点に対して、留利絵の全く異なる物事の捉え方。どっちが良いとか悪いとかの問題ではなく、そういう人もいるんだと再認識させられ、読んでいるわしの方が盲目的だったんだと感じる作品でした。
『オーダーメイド殺人クラブ』では、ずっとドキドキが止まりませんでした。読んでいる最中も、そして読み終わっってからも・・・。
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で、本題に戻ります。それは『朝が来る』の、ひかりの母親の様だということです。この作品も読んでほしいんですが、本人(母親)は、ひかりのためを思って言っている言葉の様でも、ひかりには体裁を保っているようにしか映りません。実際には母親の浅知恵かもしれませんし、ひかりのことよりも世間の目を氣にしてのことの方が大きいでしょう。全部が全部ってわけじゃないですよ。
この様に「あなたのためを思って」には、言った本人と相手との齟齬が生まれる可能性が非常に高いといえます。本当に心から誠心誠意で発した言葉であったとしても、「言いたいだけだろ」と思われても仕方がないんです。
言葉は道具
そして言葉は単なる道具だということです。「お前」を使っている時点で、相手のことを思っていないだろうと推測出来ますが、気持ちや感情も伝播するので、そこも汲む必要があります。
怒りに任せて言っているのであれば、決して相手のことを思っていません。もしかしたら言われている方に問題がある可能性だってありえます。そんなことはないでしょうけど、言われるのが20回目だったとしたら、どうでしょう。話しは変わってきますよね。つまり「あなたのためを思って」の言葉だけで、良いも悪いも判断出来ないということです。
包丁だって、バットだって、スパナだって、使い方を間違えれば大怪我に繋がります。もしかしたら最悪のケースだって考えられるでしょう。だから「包丁が悪い」とか、「バットがダメだ」とか、「スパナがあるからいけないんだ」なんてことは言えないはずです。
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確かに9割以上の人は、自分を優位にしたかったり、相手をへこませようとして使っているかもしれない。しかも本人達は真剣に「相手のことを思って言っている」と言い張るだろう。本当のところは分からないが、良い言葉だと勘違いしているのかもしれない。良いも悪いも無いのに・・・。
こういったブログもそうですし、LINEやメールといった文章で相手に伝える時には、細心の注意をはらう必要があります。と、言っておいて過去の記事で罵詈雑言が飛んできたことがあるので、わしが教えられるほど偉いわけではないと自覚しておりますよ。はっはー。
ちょっと脱線しますね。オトナ達は、すぐに言葉のせいにする。放送禁止用語だの、差別用語だの、言葉を規制すれば問題が解決すると思っている節がある。またハラスメントを代表するように、より多くの言葉を生み出そうとする。あたかも言葉が悪いとでも言いたいらしい。
こんなオトナ達の言うことなんて、聞かなくて良いと思っています。まぁわしも含めてね。はっはっはー。
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大切なのは言葉そのものじゃなくて、相手との関係性だったり、信用だったり、感情だったりするわけですよ。それだけは伝えておきたいな~。
まとめ
冒頭で述べた様に、悲しくなってしまい書かせてもらいました。わしの言っていることが100%正しいとも思いませんし、異論反論あるかと思います。
ただ二度と「あなたのためを思って」という言葉は使いません。ひかりの母親の様になるのは、まっぴらごめんだからです。
この場を借りて、過去にわしに言われたことがある人へ。本当に申し訳ありませんでした。
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