よく一言で『わびさび』と言われていますが、元々は『わび』と『さび』という別の言葉です。
どちらも美しい表現の言葉です。
日本独特の表現方法でもありますが、あなたは説明出来ますか?
-
知らないと恥ずかしい間違った言葉
『わび(侘)』
『わび』は、動詞『侘ぶ(わぶ)』の名詞形です。
もともとは、“劣っている(おとっている)状態”“不足することから起こる不満や寂しさ”という意味です。
つまり【貧しい(まずしい)様子】を表した言葉だったのです。
物の表現よりも人間の心身の状態を表していたんですね。
『侘しい(わびしい)』という言葉は聞いたことがあると思います。
この『わびしい』は形容詞ですが、意味は同じように“達成できないつらく悲しい様”“みすぼらしい様”を表しています。
以前に書いた『かわいそう』と近いですね。
室町時代に『茶の湯』と結びついて発達した。
または松尾芭蕉(まつおばしょう)が江戸時代に『わび』の美しさを追求した。
とありますが、真相は不明です。
この可愛そうで欠けているもの悲しさが、なぜ新たに『不足の美』に変化していったのか。
『可哀想』が『可愛い』に変わっていく様子に近い気がします。
-
子犬の散歩|恐ろしいほど恥ずかしい
完璧を求めずに何かが足りないから美しいと。
日本独特の発想でしょう。
「こうこうと輝ける満月よりも、雲の間に見え隠れする月のほうが美しい」と。
足りない事が不十分なのではなく、人は欠けている所に想像力が豊かになるのでしょう。
もうお気づきですよね。
あの有名な会社のロゴマークも実は『わび』です。
そう『欠けているリンゴ』です。
『さび(寂)』
一方の『さび』は、動詞『さぶ』の名詞形です。
こちらは時間の経過によって劣化(れっか)した様子を表しています。
形容詞で『寂しい(さびしい)』ですね。
『さび』は、古びて特別な風合いのある趣(おもむき)です。
本来は『寂れる(さびれる)』というように、人がいなくなって静かな状態を表していました。
あてられた漢字は違いますが、鉄が年月を経てでる『さび』は『錆』の字が使われています。
内面的な本質が外部にじっくりとにじみ出る、静かで落ち着いた奥ゆかしさですね。
平安時代から鎌倉時代にかけて『語りもの』という庶民に愛された音楽の一種があります。
その『語りもの』の中で、声帯を強く震わせて(ふるわせて)低い渋みのある声の部分を『さび』と呼んだそうです。
現在の音楽の『サビ』も今回の美しさの『さび』もここから繋がっているのかもしれません。
骨董品や茶器
食器や湯呑み、お茶碗、焼き物等々、確かに新品の方が綺麗だし使いやすいですよね。
しかしそれはどれも他と一緒です。
大多数の中の一個です。
それよりも『欠けていて使いづらい』『古くて手入れが面倒』な物は世界に一個です。
何かの拍子に欠けたのか、愛用してきたから古くなったのか。
そこには何とも言えない美しさがあります。
人も同じではないかと私は考えます。
若い人より動きが遅い、目も耳も遠くなってきた、などなど。
そんなわしや彼らは何とも言えない美しさを持っています。
若い頃には興味がないでしょう骨董品や茶器の様に、老いていくと物の価値は変わってきます。
また目も肥えてきます。
見方も変わってきます。
まとめ
『わび』『さび』が少しは分かって頂けましたでしょうか。
大多数とは違う美しさ。
人は誰でも歳をとります。
劣化(れっか)していきます。
-
見た目で判断してしまうのか?これを読めばきっと分かる!!
そんな時にふっと思い出して頂けたら幸いです。
ちなみに『お詫び(おわび)』もこの『わび』からきています。
無料版のおすすめ
一人でも多くの人に読んでもらいたいので、BCCKSさんで無料公開しました。
Dataとして手元には残らないですが、上記のリンクから無料で読むことが出来ます。
『本をよむ』をクリックすると、新たなブラウザが立ち上がります。
『無料でよむ』をクリックすると、その場所に表示されます。
右に出るカーソルを押すと、次のページに進みます。
何卒よろしくお願い致します。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。